いじめ

 集団関係のなかで立場や力の弱い者をターゲットにして精神的・身体的な攻撃を執拗に加えることをいうが、学校でのいじめが問題化するようになったのは1980年代以降である。

 校内暴力が沈静化した83年ころから注目されるようになり、85年には発生件数がピークに達し、いじめに起因すると見られる自殺も9件を数えた。

 特に「葬式ごっこ」でその異様さが注目された中野富士見中鹿川君事件(86年)は、この時期のいじめを象徴するものであった。それ以来、件数はピーク時に比べて減少したが、深刻な教育問題とされてきた。

 なかでも93年の山形県新庄市でのマット死事件(児玉君)と、94年の愛知県尾西市での「同級生にいじめられ110万円以上の現金を取られた」という遺書を残して自殺した大河内君手件は衝撃的で(どちらも犯罪とよぶべきだという意見もある)、以来、衆院文教委員会での「いじめ問題集中審議」、文部省の「いじめ対策緊急会議」の緊急アピールと報告、首相官邸での「児童・生徒のいじめ問題に関する関係閣僚会議」の開催等、政府、文部省をはじめ関係各省庁や各県教育委員会の対応が活発化することになった。

 文部省所管の国立教育会館に、いじめ問題に関する情報提供や電話相談を行う「いじめ問題対策情報センター」が新設され、また、総務庁は関係省庁連絡会議を開催し、「家庭教育電話相談」(文部省所管)、「子ども・家庭110番」(厚生省所管)、「青少年補導センター」(総務庁所管)、「子ども人権オンプズマン」(法務省所管)など各種相談機関の活用と連携強化を図ることを確認した。

 さらに、文部省の「児童生徒の問題行動等に関する調査研究協力者会議は96年7月に「いじめの問題に対する総合的な取組について」と題する報告を公表し、いじめ対策として、家庭や地域との連携や学校全体での対応の重要性を指摘し、学級編制替えや転校といった措置も必要だと提言した。

「imidas'99より」
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