高等教育の多様化


 臨教審答申および第14期中教審答申(1991年)以降、新タイプの高校の設置をはじめ、脱偏差値値教育を目指した高校教育改革が進められている。

 単位制高校、総合学科の新設、学校間連携等は制度改革の主なものであり、また、コース制や類型制を採用する高校も増えている。

 現在の高校は単位制と学年制の併用になっているが、単位制高校は、学年制の枠を外し、在学3年以上で80単位以上取得すれば卒業できる新タイプの高校である。

 高校教育機会の拡充を目指して88年度より定時制・通信制で導入され、93年度から全日制にも拡大された。

 総合学科は、高等学校設置基準の改訂により、従来の普通科、専門学科と並ぷ第3の学科として94年度から創設され、高校教育改革の中心的プランになりつつある。

 一般必修科目(最低35単位)に加え、職業ガイダンス的性格の「産業社会と人間」、コンピューター科目を中心とする「情報に関する基礎的科目」、卒業研究的な「課題研究」の三つを原則履修とし、それ以外は幅広い選択科目群を開設して生徒が自主的に選択・学習できるようにする。

 学年枠のない単位制を原則とし、科目・時間割を大幅に自主編成できる点にも特徴がある。

 学校間連携は、生徒の多様なニーズに対応し選択学習の機会を拡充するために20単位を限度に連携高校ないし専修学校での履修を認め、それを自校の単位として認定する制度で、86年度から兵庫、静岡、愛知、和歌山などで導入されている。

 コース制は同一学科に教育課程の異なる複数のコースを置き入学定員も別々に設定しているもの、類型制は入学後に生徒の希望により類型別の教育課程によって教育を受けさせるものである。



専修学校

 1975年の学校教育法の改正により、同法第1条とは別に同法第82条により制度化され、76年より発足した学校。

 修業年限が1年以上で授業時数が所定基準を超え、常時40人以上の学習者を擁する認可を受けた教育施設で、職業または実生活に必要な能力の育成と教養の向上を目的とする。

 中学卒を入学資格とする高等課程(高等専修学校)、高卒を入学資格とする専門課程(専門学校)、その他の一般課程がある。

 ほかに学校教育に類する教育を行う学校として各種学校があり、専修学校に準ずる機関、予備校、外国人学校に類別される。

 高等専修学校については、卒業生に大学入学資格が認められることになったが、高校中退者の教育機会確保という効用が期待される半面、専修学校の予備校化を危惧する声もある。専門学校は、産業構造の変化と技術革新の進展を背景に実践的・専門的な職業技術教育機関として着実に発展し、97年春の進学率は約16.4%で、短大進学率約12.5%を上回る。

 なお94年の専修学校設置基準(省令)の改正で、専門学校修了者には専門士の称号が与えられるようになった。

「imidas'99より」
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