教育情報の公開


 自治体の行政情報公開制度が広まるなか、教育情報についても、高校別中退者数や職員会議録の公開、内申書や指導要録の開示を求める動きが活発化している。

 内申書と指導要録については文部省は一律全面非公開の方針で各教育委員会を指導してきた。

 しかし1990年、川崎市で4組の母子が同市の個人情報保護条例に基づいて指導要録の閲覧を請求したのに対し、市教委は94年度から指導要録の全面開示に踏み切った。福岡県でも同年5月より全面開示されているが、川崎市の場合と違って個別事案に即した条件付き開示である。

 内申書については91年、大阪府高槻市に対し高校生が内申書開示を求めて大阪地裁に行政訴松を起こしている。また、逗子市教委は94年4月、中学生の開示請求に対し全国で初めて内申書開示を行った。

 指導要録については全面開示が認められる傾向にあるが、内申書については内申書裁判にも見られるように、校長・教師の裁量権の問題や教育機会の保障と選抜の公平性の問題が絡み合っているだけに意見は分かれている。

他方、神奈川県大和市教委は93年3月、情報公開制度に基づき、市立小・中学校の卒業式での日の丸掲揚と君が代斉唱をめぐる職員会議録を公開し注目された。

 情報公開法の制定も時間の問題になっており、行政情報の公開は広まる傾向にあるが、教育情報の場合、記載内容の制限・簡略化をもたらしかねないだけに、単に情報公開の問題だけでなく、教育上の必要性と裁量権の問題としてもさらなる検討が必要である。

「imidas'99より」
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