心の教育


 中央教育審議会(中教審)は、1998年3月末「幼児期からの心の教育」について中間報告を公表した。学校でのしつけ教育には限界があり、今後は家庭でのしつけが重要であるとして、その方策を提言している。

 その内容は

「親は悪いことは悪いと教える」

「家事の分担、物の与え方などのルールを教える」

「電車の中で老人に席を譲るようにさせる」

「子どもの良いところを伸ばす」

「過度の干渉、過保護は子どもの心の成長をゆがめる」

といった具合に、家庭でのしつけのあり方を列挙している。

 その他、地域社会では保健所などを活用して親へのしつけ教育や、不適当な放送番組のチェックを行うことなど、社会的な対応の仕方も提言している。今までの審議会提言にはないユニークな内容である。

 しかし、最近はわが子のしつけ方を伝承する祖父母との同居が少なくなり、さらに共働きの時代となり、子どものしつけを担うべき両親が家をあけることが多くなっている。報告書の内容は、そうした共働き社会での親子のあり方についての認識が薄いようである。

 また、子どもの見本ともなる大人社会のモラル意識の低下も著しい。家庭でのしつけの手だてを探るのも結構だが、親(大人)の背を見て子どもたちは育つ。大人社会のモラルの向上がなければしつけの努力も絵に描いた餅になりかねない。

「imidas'99より」
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