教員免許制度
1949年に制定された教育職員免許法(教免法)に基づく教員の資格制度。
戦前、教員免許状は主に師範学校卒業生に与えられたが、戦後は、この教免法により教員養成は大学で行うことが規定され、教職課程を置くいずれの大学の卒業生でも、所定の科目・単位を修得すれば免許が与えられることになった。
この方式は教員養成の解放制といわれる。
教免法は、80年代に顕在化してきた教育病理現象や教育環境の変化を背景にして88年に大幅改正された。
主な改正点は、
1)従来の1級、2級免許状に代えて、大学院修士課程修了程度を基礎資格とする専修免許状、大学卒程度の1種免許状、短大卒程度の2種免許状の3段階制としたこと、
2)社会人を登用するために免許状を有しない者の採用を認めた特別非常勤講師制度を創設したこと、
3)大学での免許取得に必要な専門科目およびその単位数を拡大したこと、
の三つである。
なお、中学・高校の免許状は各教科について授与されており、原則として免許のない教科を教えることはできないが、校長と教諭の申請があれば1年以内に限って免許外の授業を担任できる。
しかし、免許外教科教員問題は中学校で特に深刻で、同許可件数は全国で4万件、教師6.7人に1人が免許外教員になっている。
もう一方で、情報化や国際化などの社会変化を背景にして、小学校教員の採用でパソコン実技を課す(大分)、英語の運用能力を重視する(東京)、面接官に父母や企業の人事担当者を加える(京都、香川)、一芸に秀でた人材を優先する(埼玉)など、教員採用方法の多様化が進んでいる。
初任者研修
新任教員に対し、実践的指導力の養成、使命感の育成、幅広い識見の修得を目的として、採用後1年間にわたり行われる研修。
臨教審の提言に基づき1988年の教育公務員特例法等の改正により制度化され、89年度に小学校で実施され、92年度までに中学、高校にも拡大された。
研修は、週2日程度・年間60日以上の校内研修、週1日程度・年間30日以上の教育センター等での研修、4泊5日の宿泊研修からなる。