学習指導要領

 小・中・高校の教育課程に関して国が示す基準。

 文部省告示であるが、法的拘束力をもつとされる。

 1947年、国定教科書制度が廃止され、最初の学習指導要領が試案として発行され、各学校が教育課程を編成する際の指針・手引きとされた。

 しかし58年の3回目の改訂(2回目の全面改訂)では文部省告示として官報に公示され、法的拘束力が強調され、戦後教育の軌道修正が図られた。

 また、道徳の時間の新設や教科内容の現代化など大きな変化がみられた。

 その後ほぼ10年ごとに全面改訂されてきたが、77年の改訂では落ちこぼれや校内暴力等の教育問題の増大を背景に「ゆとりと充実」がスローガンに掲げられ、教育内容の精選、授業時数の削減、ゆとりの時間(学校裁量時間)の導入が行われ、また「君が代」が国歌と規定された。

 89年の5回目の全面改訂では情報化・国際化等の社会変化を背景に「教育の個性化と多様化」が掲げられ、小学校低学年での社会科・理科の廃止と生活科の新設、中学校での選択履修幅の拡大、高校社会科の地理・歴史と公民への再編、「日の丸」「君が代」を国旗・国歌として入学式や卒業式で掲揚・斉唱することの義務づけ等が行われた。

 96年発足の教育課程審譲会は、2002年からの学校週5日制の完全実施に備え、教育内容の厳選、授業時数の削減、「総合的な学習の時間」の導入などを検討し、1998年7月に答申を行った。

教育課程/カリキュラム


 カリキュラムはラテン語の「競走路」を意味するcursumを語源とし、学習者の走路(コース)に配列されている教育内容の系列をいう。

 狭義には教育目標に即して選ばれた教育内容を一定の原理にしたがって系統的に配列したものの総体、広義には学校において生徒の学習・発達・進路選択等を左右する経験の総体をいう。

 前者は教授行為の観点からとらえた教育学的概念で、教育課程ともいう。

 後者は学習者サイドからとらえた社会学的概念で、潜在的カリキュラム(教育過程で付随的・潜在的に子どもに影響を及ぼす諸要素)を含む。

 教育課程編成の課題は教育内容の時系列的系統性(sequence)を縦軸とし、内容の広がりと深さ(scope)を横軸として教育的働きかけの全体計画を構築することにある。

 その編成理念によって教科中心カリキュラム/生徒中心カリキュラム、学問中心カリキュラム/人間中心カリキュラム、教科カリキュラム/経験カリキュラム、コア・カリキュラム、クロス・カリキュラムなどの区別がある。

 コア・カリキュラムは、諸教科や学習課題を並列的に配置するのでなく、中心となる課程(core course)の周りに他の諸教科・課題を配置・構成することにより、社会生活の諸領域を統合的にとらえ、カリキュラム全体を有機的に組織しようとするものである。

 また、クロス・カリキュラムは特定の課題(環境問題など)に関して教科横断的に編まれるカリキュラムである。


「imidas'99より」
BACK