ぜんそく


 空気の通り道である気道が広範囲にわたって狭くなる病気。呼吸のたびにヒューヒュー、ゼーゼー、といった特有の症状を出す慢性気道炎症性疾患である。

 アレルギーの要因が強いアトビー型とアレルギーの要因の見つからない非アトビー型に分けられる。

 アトビー型は小児に多く、非アトビー型の方は成人に目立つ。

 成人の患者は30年前の3倍に増えており、約300万人。小児患者は約100万人と推定され、死者は毎年6000人ぐらいとみられる。

 わが国のぜんそく患者の死亡の特徴は、50歳以上に多いことと、ここ十数年で30歳代の若い年齢層に目立って増加していることである。

 死亡の原因は気管支の粘膜が炎症を繰り返す結果、気道が細くなっているところへ粘っこい分泌物が詰まり窒息することになる。

 そこで元凶の炎症を抑えることが大切だが、これに最も効果的なのが吸入ステロイド。

 ぜんそく治療の先進国イギリスでは治療薬の半分はこれが使われているほど。

 これに対して日本では、気管支拡張薬(ベータ2刺激薬)や抗アレルギー薬が主流を占めているのが実情である。

 これには患者自体が吸入ステロイドへの理解と信頼の不足している点も見逃せない。

 近年、ぜんそく治療の専門医たちは、吸入ステロイド中心の治療に意欲を燃やしているが、対策としては、

1)ダニなどを含めたハウスダストやたばこの煙への対応、

2)軽症期から抗炎症薬(吸入ステロイド)を使う、

3)気管支拡張薬のベータ2刺激剤は過度に使わない、

4)患者や家族などへの教育の重要性、などを口をそろえて強調している。

 なお、治療薬のうち気管支拡張薬の噴霧式吸入薬の過剰投与が重い副作用を招く恐れがある、として厚生省は1997年5月、子どもに対する原則的な投与中止と成人についても投与法に注意するよう呼びかけた「緊急安全性情報」を出した。



  味覚障害

 甘い、酸っぱい、といった味覚は、舌や軟口蓋(上顎の奥)に多い味膏(みらい)で感じとり、ここの味細胞から情報が神経を経て脳に伝えられ、味を区別する。

 このようなルートに異常が起こり、味の感じが鈍くなった状態をいう。

 原因はこれまで必須微量元素の一つ亜鉛の欠乏が指摘されていたが、このほかに辛い食物の摂りすぎも問題視されてきた。

 亜鉛の場合、高齢者では薬剤(降圧剤など)によるケースが日立つが、若い人ではインスタント食品などの偏食によることが多い。

 また、保存料などの添加物入り食品の食べ過ぎも亜鉛の吸収を妨げる結果を招くという。

 一方の辛い食べ物、特に「激辛」の刺激物を摂り続けると、味蕾細胞の破壊を招き最悪のときは、味覚を失うことになる。

 問題の亜鉛は、細胞を作るたんばく質や核酸合成に大切な存在で、新陳代謝の活発な細胞に多量にある。

 味蕾細胞も絶えず新生を繰り返すので亜鉛を欠かせない。

 ところが、降圧剤などは、体内の亜鉛と反応するため服用者は亜鉛欠乏状態を招くことになる。

 予防には、亜鉛の含有量の多いカキ(貝)、小魚、豆類のほか抹茶、緑茶を多く摂るように心がけるほか、余り辛いものは頻繁に食べないといった注意が肝要である。

「imidas'99より」
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