3)栄町子育観世音・・・上大槻街(栄町…元後藤長−ホテル花やの間)
3)栄町子育観世音
 以前から通る度に気になっていたのだが、いろんな市内の発行物を見てもいわれ等について一切記述されていないのが、栄町子育観世音である。政教分離ということで、あまり宗教関係の事は公では触れたがらないようだが、触れないでいるうちにどんどん無くなっても困る。先日、意を決して持ち主と思われる大町の「白い時計台の千田」、千田隆さんに電話で失礼ながらお話を伺ってみた。
 建立されたのは昭和の初期、千田さんの曾お祖父さん「千田兵助」さんの手に寄るものである。なんでも兵助さんの娘さんが26歳の若さで亡くなったとき、子供達がなんとか健やかに育って、町も栄えて欲しいという気持ちで願成寺から移築?したという。もともとは花泉にあったものらしいが、どういういきさつで願成寺にあったのかは不明である。「メセナ」というのは欧米での企業の社会貢献と言う意味でかっこいいと思われ、日本の商売人は自分の利益だけに走ると言われている。しかし、メセナと言う言葉は使わなくても、人知れず世の為、人の為に尽くしている人は大勢いる。戦後の高度経済成長で一億総中流の時代に生きてきた私たちは、あまりにビジネスライクに生きているのではないだろうか。
 近所のおばあさんは、戦後の苦しい時期米穀通帳でツケで買物をし支払いもままならなかった時に、売り物にならない野菜や果物をそっと買物かごに入れてくれたお店の人に、助けられて生きてきた。といって今でも季節のあいさつを欠かさない。豊かな今だからこそ、自分の親や祖父母の話を聞いてみよう。
 一関の商店街も案外捨てたもんじゃないと思う。
(付記:栄町子育観世音の祭日は毎年10月17日)

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