Various Hours in a Forest Vol.1~16
写真冊子「ブナの声」17~

写真冊子「ブナの声」~16

 斎藤政広 写真集 
斎藤政広 著
写真冊子「ブナの声」
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ISBN978-4-904946-00-8
C0045 Y12000E
斉藤政広写真事務所
セット定価12,600円
(本体12,000円)

〒998-0037
山形県酒田市日吉町2-5-1
phone: 0234-23-3822

「ブナの声」全16冊の内容
VOL.16 鳥海山 〜森から海への物語…雪への思索 2010.1.20
 庄内の 野に日は照れど 霰かな
 しべりあの雪の奥から吹く風か 寺田寅彦 昭和3年5月 渋柿
 庄内地方を見事に表現しているようで好きな句です。
 ・・・
 鳥海山の海に面した吹き浦から小砂川にかけては川がない。鳥海山に降りつもる雪や雨の大部分は山麓の森の枯葉層を通過して地下水脈に入っていく。このとき、枯葉の堆積の腐葉土が水にとけだし養分として海に運ばれる。
 ・・・ここ釜磯は地下水脈が砂浜から直接湧き出している。・・・釜磯の砂鉄を海の生きものたちに取り入れやすい状態にしてくれるのが、腐葉土であるという。・・・
VOL.15 鳥海山・万助道界隈のどか時間 2009.4.10
 蝸牛の角がなければのどかかな また思う 蝸牛は角があってものどかかな 寺田寅彦「渋柿」
 三日間ほどの列車の旅、羽越線紀行に酒田、象潟の地名が見られます。ここには、どこともなく長閑な時間が流れています。同じ時間なのに新幹線では味わえない豊かさがあるように思います。
 ・・・
 鳥海山には、山麓から山頂へ辿る山道が幾つもあります。その一つに万助道があります。・・・そして、なぜだろう。ここには、ゆったりとした「長閑時間」が流れているように思います。・・・
VOL.14 鳥海山 〜森からの視座・鶴間池秋時間 2008.10.10
 最上川 落ち葉一枚 づつ流す 山口青邨
 最上川のどの辺りで詠まれた句であろうか。
 ・・・
 落ち葉一枚一枚に木の上での物語があるだろう。目を森に向ければ葉を落とし行く広葉樹の森が見えてくる。森は北の鳥海山、南の月山に繋がって行く。
 ・・・前回の春時間も今回の秋時間も、同じ所から時間や季節を変えて撮影するという、定点観測を試みています。・・・一つの地域の点のような存在も、見つめてみれば宝物がたくさん詰まっています。・・・
VOL.13 鳥海山 〜森からの視座・鶴間池春時間 2008.6.4
 新しい帽子を買ってうれしがっている人があるかと思うと、また、一方では、古いよごれた帽子をかぶってうれしがっている人がある。
 寺田寅彦「渋柿」の一文です。ここに、ゆったりとしたものの見方、多様なものの見方の一面や、知らずに喜ぶ心を感じていました。森を行き来する自分に多くのヒントを与えてくれました。
 Vol.13-16までは鳥海山の山麓を訪ねて、森からの視点で鳥海山を見つめてみようと考えています。
VOL.12 エゾゼミとコエゾゼミ〜ブナの森に生まれて 2008.3.3
 むくむくと 砂の中より 春の水 夏目漱石「漱石・子規往復書簡から」
 地下水脈のことを考えます。読者との繋がりも一つの水脈で繋がっているように思います。むくむくと湧きあがる春の水に元気をいただいてお届けします。
 ここでも森がなければ生きていけない生きものを取り上げた。
 ・・・
 それぞれに生きながら関連しあう森の構成員たちを紹介した。ここではその生き生きとした表情を伝えたかっただけに過ぎないが、その繋がりのひもときがどこかで自然と生まれた。
VOL.11 ぼく、モリアオガエル〜ブナの森に暮らしています 2008.1.1
ぼくのすみか/池や沼や湿地のある森の中
くらしは/あまり動かず、木の上や葉に止まり
昆虫類やクモ類などを食べています。
てんてきは/オタマジャクシのときはヤゴ、ゲンゴロウ、アカハライモリなど
カエルになっては小型の猛禽、アカショウビン、ヘビ、テンやアナグマなど
おおきさは/おすは4〜6センチ、めすは6〜8センチ、めすの方が大きい。
VOL.10 わたし、イヌワシ〜鳥海山に暮らしています 2007.2.22
 木瓜咲くや漱石拙を守るべく 夏目漱石「漱石・子規往復書簡から」
 庄内地方では白鳥の北帰行が見られるようになりました。南からはモンシロチョウの初見の便りが届きました。それぞれが自分流に生きています。
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 1984年頃鳥海山麓に大型スキー場の建設計画が持ち上がっていました。やがて、建設反対の署名が始まり、鳥海山を破壊から守ろうという大きなうねりが全国に広がって行きました。ぼくの写真にイヌワシが登場するのはこの頃からです。
VOL.9 ハッチョウトンボの世界〜ちいさないのちをみつめて 2006.3.30
 自動車のほこり浴びても蕗の薹 寺田寅彦「渋柿」
 あちらこちらから桜の開花の便りが聞こえてきましたが、酒田の開花予想は4月15日とニュースで伝えられました。庄内地方にもようやく遅い春が巡ってきました。
 今回のハッチョウトンボの観察は、その道の研究者ではなく、虫が大好きなカメラマンが虫と過ごすことができた幸せの日々の報告です。
VOL.8 みちのくの山から〜高層湿地を訪ねて 2005.7.10
 東北地方は梅雨の中、山の花はみずみずしい限りです。
 ・・・
 1988年6月から7月にかけて、やや集中的に高層湿地の点在する山域に友人らと遊びました。酒田に暮らし始めて4年目、北方への山旅への想いはありつつも、日々の暮らしの中、なかなか遠出の山旅とはいかなかった、その頃のことです。
 今回、このようにみちのくの山旅の中で出会った、高層湿地(主に池塘)を僕なりに納得のいくかたちでまとめることができました。
VOL.7 日高を訪ねて 2004.6.20
 28歳の頃であった。5年ほど勤めた会社を辞めサラリーマン生活に終止符を打った。
 ・・・居壁工君の故郷は北海道の日高地方、浦河であった。1978年の秋、紹介してもらった牧場で働きたいと、単身バイクで日高に向かった。
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 これらの山歩きは、若い頃のことであり、写真も古く記憶も怪しいところもありますが思い出すままに取り上げてみました。
VOL.6 高山に遊ぶ〜白馬岳での日々から 2003.11.10
 今回の表題は「高山に遊ぶ」としてみました。気持ちの中では「高山を楽しむ」という表現も考えましたが「遊ぶ」という方がより自然に思いました。若いときのあこがれとは不思議なもので、未知なる世界、より困難なことに挑戦してみたいという欲望がふつふつと湧いてくることがあります。自分自身の若い力、体力、知識を試してみたいという欲求が活発になり、高き山に足が向いていくのもごく自然なことであったと思っています。
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 ここでは白馬岳での風景との出会い、花との出会いをお届けしました。
VOL.5 ヒメギフチョウを見つめて 2003.6.20
 中学2年生頃であったか、親友の中ちゃんと東京国立市にある、クロレラの研究所へ訪ねて行ったことがある。中ちゃんは蝶の食草にクロレラの溶液を塗ってそれを食べる幼虫の成長過程を調べて見ようと思い立ったのであった。
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 開館間もない酒田市美術館で写真展を開催したことがある。・・・梢の周囲をゴマダラチョウが数頭軽快に飛んでいた。この出会いは写真展開催と相まってなんとも嬉しい出会いであったこうしたことも、虫たちとの長年のつきあいがあってこそである。・・・
VOL.4 北の安曇野から〜秋から冬へ 2003.3.10
 スキーロッジの仕事のかたわら、80年代の3年間ほどを白馬岳の村営頂上小屋の建設に従事していた。
 ・・・写真が撮れるのは2月に入ってからで、落ち着いて被写体と向き合えるのは4月に入ってからだ。撮りたいという気持ちがやがて高まってきて天気の頃合いを見て野外に飛び出していった。
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 ここのところ、猛烈な寒波が続いています。冷蔵庫状態の周囲の中、四畳半の南極越冬室からの編集室便りのようです。1月30日12時00分、外気温、零下2度、猛烈な地吹雪。
VOL.3 北の安曇野から山麓に遊ぶ〜春から夏に 2002.10.10
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 「萱野茂のアイヌ語辞典」(岩波書店)で「野」を捜してみました。アイヌ語で「ヌ
」といいます。その「ヌ」に「カ」(〜上)が付いて「ヌプカ」になると「丘」になります。また、「リ」(高い)が付いて「ヌプリ」で「山」になります。・・・そこで思い出したのが東ヌプカウシリと西ヌプカウシリという北海道十勝にある山のことです。「平原の上にそびえる山」と訳しています。憧れの山です。・・・
VOL.2 自然からの贈り物〜ぎふちょう 2002.6.10
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 今日は久しぶりの雨で一日降っている、時には強く、時にやさしく。明日は雨上がりの晴天だという。若葉は一斉に、太陽との挨拶をして大きく葉を広げるだろう。ギフチョウの幼虫は大きな葉の裏に小さな身体をよせあって、みんな一列になって食事をしていることだろう。
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 今回のテーマは「ぎふちょう」。日本の固有種なので、表紙の文字をひらがな表記にしてみました。・・・長野県白馬村、山形県朝日村での撮影です。
VOL.1 写真集「ブナの声1」 2001.10.22
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 これまで写真展で展示した作品もかなりの数になった。
 取り上げられず、出番を待つ作品はそれよりはるかに多く・・・中には作品には向かないけれど写真集に取り入れたいと思う写真もある。
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 全体に流れる大きなテーマは森の持つやさしさであるかもしれない。やさしさとは何なのか生命の連鎖の中にそのヒントがあるように思う。
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 ブナの声〜斎藤政広写真展カタログ 2000年
 〜Saitoh Masahiro's Photo Exhibitioi〜
 東北の山々の魅力の一つに山麓をおおっているブナ林の美しさがあります。
 ブナ林は高山帯に多量に降った雪、梅雨や台風でもたらされる多量の雨、それらをゆったりと受け止め、豊かな水を水田に与えるダムの役目をしています。
 森のダムと呼ばれる由縁です。
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 ご高覧いただいた作品を通してブナとの語らいが生まれ、ブナの声を感じていただければ幸いです。