もちの種類
餅は大別すると「搗き餅」「練り餅」「その他」に分類する事が出来ます。
◆ 搗き餅―糯米(もちこめ)を蒸して杵で搗いたもので、いわゆるお餅です。食べる時にはいろいろな「あん」をからめて食べる餅と、草餅などのように糯米の中にいろんな具を搗き込んだものが見られます。
◆ 練り餅―米の粉(粳米(うるちまい)―ご飯用のお米)に湯を加えて練り、蒸しあげたもので、柏餅や五平餅などがある。
◆ その他―しだみ餅などのように米以外の穀類や食品でつくったもの等をいう。

◆ 搗き餅(餅種を絡める)

汁のもち 


1)雑煮もち

 一関地方の雑煮もちといっても家庭事に微妙に違うのだが、ここでは「聞き書き 岩手の食事」から引用してみよう。
----雑煮もちは野菜のひき菜(千切り)を具にした汁もちである。だしは鶏かはぜや赤はらなど干魚を使う。かまぼこに、野菜は、大根、ごぼう、にんじんのひきなが主体、せりの青味が香りを添える。味は澄ましか醤油味である。この中にもちを食べやすい大きさに切っていれる。----(東磐井地方では糸こんにゃくも入れるという)
 また、花泉地方では大量の引き菜を事前に作り冷凍保存しておくところもあるという。
 なかなか内容までを記したものは少ないので、覚えている限りでいうと、だしは昔はよく「きじ」や「やまどり」でとった。川魚は生よりも干したほうがおいしいので、冬場囲炉裏の上のベンケイに串ざしにして薫製を作り使ったものである。どちらも、今では手にいれることすら困難である。幸い年末に知り合いから分けてもらうことが時々あるのでご相伴にあずかれるのは望外の幸せである。※花泉ではズイキを入れるところもあるという。
 ご祝儀、不祝儀のもち膳にも欠かせない一品で、不祝儀のときは昆布だし・かまぼこの代わりに油揚げにするのが正式のようである。

 ひき菜もちと言うところもある。

雑煮餅
※仙台雑煮は松島湾の「焼きはぜ」でだしをとったというので、仙台よりのご家庭ではハゼを使い、海産物を入手しにくい家庭では川魚の「あかはら」や鶏などを使ったと思われる。

 

★)もち沢煮

 過日、偶然入った居酒屋のメニューにあった。もとは沢煮椀に出していた餅では無いだろうか。ちょっと興味があったので早速食してみた。

 醤油だしの中に手きりの餅、千切りの大根と人参、舞茸と豚肉が上品に盛りつけられている。それと蟹の足が数本入っている。さっぱりとした薄い醤油味のトロ味で、まあ言ってみれば伝統の雑煮餅をお裾分けしてもらったような気分で、美味しく頂きました。

 ※宮城県北経由のお店なので、そちらの地方ではこういう食べ方もままあるのだろうか?。あるいは「つゆもち」に分類するのだろうか?

sawani

☆)おづけもち  味噌汁に入れて食べるもち 

☆)つゆもち   醤油味の汁に入れる

○)おつゆもち(お湯もち・ネギもち)

 こんがり焼いた切りもちを 3、4個ぐらいどんぶりに入れ、上からお湯を注ぎ、しょうゆで味付け、削り節をまぶしただけのものを、おやつ代わりに食べていました。年中行事の中には出て来ない普段着の餅です。
 小口切りにした長ネギ、カツオ節、刻み海苔を切りもちの上にのせてしょう油をかけたもの。削り節、ネギ、とろろ昆布にお醤油を注ぐもの。お椀に餅を入れネギと削り節、醤油少々+もみのりバージョンなどバリエーションはあるようだ。

 ※本寺の交流施設若神子亭で提供する「黄金ねぎもち」は岩手の特産である甘みの強い「南部一郎かぼちゃ」をペースト状にして、もちに練り込んでつき直すため、きれいな黄金色のもちに仕上げたもの。甘辛のタレと桜エビ、長ネギのトッピングで絶妙な味わい。2013年のもちサミットから登場の新顔です。

 

○)ネギもち(根深もち?)

 椎茸を千切りして醤油汁で煮て、しょうがのおろし汁と片栗粉でからめたもちです。
 根深もちは、ねぎと海苔と削り節で酢醤油味。

☆)ごろんべもち ドジョウ鍋に入れる  

 

★)南蛮もち 南蛮もち
 奥州市江刺区の「南蛮もち」は、江戸時代から食べられている下餅田地区だけに伝わる郷土料理。 醤油ベースの具だくさんの汁に餅を入れたもの。中に入った南蛮の辛みが食欲をそそり、餅料理の締めに欠かせない一品。

野菜のもち 


2)おろしもち(みぞれ餅・からみ餅・なます餅)
おろし餅
※全国的に「みぞれ餅」が通りが良い。宮城県では「からみ餅」といって大根の辛さを利用。一部「なます餅」として酢と塩で味をつける。

 一関町方年中行事記によると『六月朔日-むけぜっく。衣更え。ムキの朔日といい「歯がため」と称して、冬に作った氷餅(凍み餅)を食べる。前夜スノハという草の実を「蚤の舟」といって床にまく』(蛇や人が皮を脱ぐ日といわれ、この日は桑畑へは行かない。)
 もともとは「氷室の節供」といい、民間では氷のかわりに氷餅を食べ、特に山陰・北陸・東北ではこの餅を歯固めと称した。
 
多少呼び方は違っていても「歯がため」の行事は市内全域に広がっているが、「蚤の舟」は萩荘・舞川・弥栄の資料には載っていない。
 また「この日、畑に行くと蛇のぬけがらを見るから行ってはだめだ」といういい伝えがあり、農家では仕事を休み、ごちそうに餅を搗き大根おろしで食べる。切り麦やはっと、麦香煎を食べるところも有る。厳美地方では「まんが洗い」といい、野遊びをする。
 今では話には聞いたことは有るが、実際にやっている家はほとんど聞いたことがない。

3)しょうがもち

 椎茸を千切りして醤油汁で煮て、しょうがのおろし汁と片栗粉でからめたもちです。あまい味の多い餅料理の中でさっぱりとした味は、納豆餅と並んで男性にも好まれます。
 甘さ無しで生姜の辛みが効いて、甘いのが苦手な方でも大丈夫です。田舎の方では「とりまわし」に使われる餅は、納豆もち、しょうがもち などを使うことでも知られています。「聞き書き岩手の食事」に出てくるように旧一関・平泉・花泉で良く出されます。

☆)しょうが餅(辛味もち)

 もう一つのしょうが餅は、すりおろしたショウガとしょう油、または麺つゆを白餅にからめるだけのシンプルな味です。旧東磐井地方(げいび三色餅)や、江刺等はこっちの味です。また、宮城県の栗原地方でも食べられていますので、こちらのほうがより古い形ではないでしょうか。

 

4)ふすべもち(辛味もち)

 「辛い」ことを「ふすべる」というところからこの名がつきました。一番ポピュラーな作り方は、ごぼうは皮をむかないで洗いそのまますりおろす。すりおろしたごぼうを鍋で炒め、鶏挽肉を入れ、ダマにならないよう炒める。同じ鍋にだし汁をひたひたになる程度加え、醤油、酒で味を整え、最後に輪切りにした鷹の爪をくわえる。この中にもちをちぎって入れます。
 名前は聞いたことがあるが、年配の人以外はなかなか食べたことのない餅です。餅の中では珍しい辛味の餅で、男衆に人気があるといいます。一関中部?から県南部がこの作り方のようです。

※一関で現在鶏肉の代わりに牛肉を使い、唐辛子でピリ辛に仕上げた「ふすべもち」を出しているお店があります。同じ一関でも弥栄地区や花泉町、そして宮城県栗原地方では鶏肉ではなく、どじょうを使った「ふすべもち」が基本です。(次項参照)

☆)ふすべもち(焼きドジョウ入り)

 花泉や宮城県栗原地方の「ふすべもち」は、焼いたドジョウとすりおろしたゴボウを入れるのが、もともとの作り方です。現在は上記の鶏ひき肉で代用されることが多いようですが、2013年宮城県北の産直で発見し、やっと食べることができました。
 すりおろしたゴボウを炒め、大根おろしと水を入れて煮込みます。焼ドジョウ粉と唐辛子を入れ、酒、みりん、醤油で調味し、餅を入れて出来上がりです。
 焼いたドジョウの香ばしさとごぼうの香りが、何ともいえない素朴なおいしさと懐かしさを感じさせてくれます。地域によっては大根おろしを入れないでドジョウとゴボウだけで作る方法もあります。

 ※焼きドジョウ粉――どじょうを一匹ずつ竹串に刺し、炭火で焼きます。ある程度焼けたら、焦がさないように遠火でじっくり焼きます(焦がすと苦味が強くなる)。焼きあげたらベンケイに刺し乾燥させます。折れるほど乾燥したらすり鉢で粉にし、焼きドジョウ粉の完成です。

5)きのこもち  あみっこと大根おろしでからめる 

6)わさびもち  山わさびをおろして和える

豆を使ったもち 

7)納豆もち

 日常的によく食べられる餅です。甘いものが苦手な方にも好評なので餅料理をつくる時には、必ずと言っていい程メニューに加えられます。
 作り方はいたって簡単。切りもちなどをお湯で煮て柔らかくし、少量の出汁と醤油で納豆を味付け、切り餅とあえるだけです。ちょっと手を加える時には、みじん切りにした長ネギと鰹節をまぶして混ぜ合わせます。
 金ヶ崎町では「子持ち」と言い子宝に恵まれると結婚式には使いますが、あとを引くから仏事では出さないといい、宮城県や北関東などでもつくられます。

 ※山形県庄内地方では非常にメジャーな存在で、隠し味で砂糖やゆずの皮なども入れる家庭もあります。また、お澄ましに納豆を入れた納豆汁に細かく切った もちを入れて作る納豆もちもあります。
 ※京北地域は関西圏では珍しく納豆食地域で、正月三が日に雑煮の代わりにお祝いもちとして塩であえた納豆を餅で包んだ大きな納豆もちを食べます。『食べ残す』のは『財を残す』といい縁起のよいものといいます。

8)ずんだもち  陰暦8月15日、宮中の行事以前に「初穂祭」という農耕行事として古来から行われてきた「名月」の行事で、芋、団子、枝豆、薄の穂を供え収穫を感謝する日です。
 枝豆(青ばた豆)といえば豆打餅(ずんだもち)。お盆のお供えには欠かすことのできない季節料理です。
「ずんだ餅」は茹でた枝豆をすり潰して お砂糖などを加えてつくります。枝豆を打って作ることから豆ん打(ずんだ)というのが語源といわれていますが、伊達正宗公が陣太刀で豆をつぶしてお餅と一緒に食べたことから 陣太餅と呼ばれるようになったという説。米糠に塩を加えて発酵させたものを「じんだ」と呼び糀ともち米に塩を加えてならした「じんだもち」(これに枝豆の餡をつけて食べる)という説などがあります。
 一関地方はもとより宮城・山形・福島・新潟・山梨などでも「じんだん、ぬた、まめずり、ごた」などと呼ばれています。
 餅、団子、おはぎなどにからめて楽しめる夏の終わりから初秋の味で、一関を含めた旧伊達藩地域の食の文化の代表でもあります。
 今では冷凍技術の発達で年中食べられるようになったのは嬉しいことですが、やはり旬の味は名月、秋彼岸などにじっくり味わってほしいものです。
ずんだもち

9)豆腐もち

 残念ながら名前は知っているが、まだ食べたことがありません。
 「聞き書き岩手の食事」によると簡単にいえば「餅の白和え」みたいで、くるみもちは手数がかかるので、多忙なとき、クルミのない時は豆腐もちとなるといいます。豆腐の水気を絞ってからすり鉢ですり、塩と砂糖、隠し味に醤油で味を整え餅の衣とする。砂糖を加えないのを好む人もいる。一関市史の中では端午の節句に豆腐もちが出てくるだけです。切り餅とあえるだけなので手軽です。

 ※宮城の一部ではくるみの実と豆腐をすりつぶし砂糖・塩を加えたあんを、餅に絡めて「豆腐餅」というようだ。
 ※福島の猪苗代湖南部の山間地域でも豆腐もちは食べられている。油で炒めてコクを出すとのこと

 

種実のたれをまぶしたもち


10)ごまもち   すり胡麻を水に溶き、砂糖と塩で味付けしてからめる。

11)じゅうねもち

 じゅうねを炒ってから、油が出るまで丁寧に摺ると、濃厚な味ができます。醤油と砂糖で味をととのえ、とろみのある衣をつくり、餅にからめます。
 「じゅうね」とは「エゴマ(荏胡麻)」のこと。東南アジア原産のシソ科の植物で、インド原産の「ゴマ」よりも古く縄文時代から日本では利用されていたという。戦後は一時生産が減少しましたが、近年α-リノレン酸を豊富に含んでいることから、再び注目されるようになりました。
 ゴマとクルミを合わせたような濃厚な味とちょっとざらつく食感が特徴で、個人的にはその野趣を感じさせる味が好ましい。一関地域の餅料理では、重要な一品となっています。 岩手県中部から北部にかけては「うちわもち」につける「じゅうね味噌」としておなじみです。

※宮城や福島会津などでは比較的多く栽培され「じゅうねん」(食べると十年長生きできる)などと呼ばれています。また、じゅうねんぼたもちも彼岸にはつくられている。

 

12)くるみもち

 くるみもちはその名の通り、秋になると落ちた実を拾い、乾燥させ、保存していたクルミをお餅に絡めて食べるものです。
 クルミの実をすり鉢で摺り、水に溶いて砂糖と塩、醤油で味付けして絡めます。と書くとたった一行で済んでしまうのですが、実際にはなかなか手間がかかるので、前述の豆腐もちで代用される事も多いのです。

※子供の頃はくるみ餅というとお手伝いです。秋にエグネ(屋敷林)で収穫していたクルミを金槌で割って、中の身を釘などで取り出すのです。和グルミはまだいいのですが、鬼グルミは殻が堅いので何度指を金槌に挟んだ事か。。。 きれいに殻からはがれない事も多く、嫌なお手伝いの一つでした。
 もっとも出来上がったくるみ餅は、その粘り気と深みのある濃厚な甘さが、応えられないほど美味しくて一番の好物でした。

 沿岸部特に宮古市周辺では特別な1品で、「くるみ雑煮」としてお雑煮と共に甘い“くるみダレ”を別の器に入れて出し、お雑煮の餅をたっぷりくぐらせて食べるといいます。
 現在では砕いたクルミが餅だれとしてスーパーで販売され、摺って味を整えるだけで出来上がりです。便利な世の中になったものです。クルミが少ないときには水気を切った豆腐を入れて増量します。

 関西ではくるみ餅は、あんこでくるんだお餅という意味だそうです。

 

甘いもち


13)小豆もち(あんこもち) 水切りもちに粒あんをからめる、たまにはこしあんも使うが、つぶあんの方が小豆らしいこくとうまみがある。

MEMO:
小豆とたっぷりの水を鍋に入れ火にかけ、1時間程ことこと煮込む。煮えたら砂糖、塩で味を整え、出来上がったところに水切り餅を両手でちぎって入れて出来上がり。餅料理の定番の一品。つぶあんは小豆もち、こしあんはあんこもちという事がおおい。

14)あめもち(麦芽あめもち)☆
 本格的な「麦芽あめもち」は最近お目にかかっていませんが、麦芽あめは奈良時代からつくられてきた甘味料。砂糖がなかなか手に入らなかった時代、大麦の芽を乾燥・粉砕し、蒸かしたもち米と一緒に寝かせ、その絞り汁を煮詰めたものです。
 大麦が発芽したときにでる消化酵素で、もち米のデンプンが分解されて甘くなるという。
 とろとろになるまで煮詰めたらもちをいれてからめ(+きな粉をまぶすところもある)あめもちの出来上がりです。
 今では手間のかかる麦芽飴を作る家庭が少なく、市販の麦芽飴をお湯で溶かして火にかける。代わりにザラメや砂糖で代用する家庭も多いです。
 一関でも特に花泉地方や、宮城県の栗原・登米地方ではお正月の一品になります。昔はきな粉も自分たちでつくったという話です。※麦芽と餅米を煮詰めてつくる「たんきり飴」というのが沢内にあるといいます。

15)きな粉もち・ふくとり餅(あべかわもち)

 一番シンプルなものが、砂糖と塩で味をととのえ、黄粉をまぶして食べる餅である。水飴を絡めてからきな粉をまぶすものや、黒蜜を使うところもある。
 江戸時代、徳川家康が名付けたといわれる「安倍川餅」も、このような形であったといい、八代将軍徳川吉宗も安倍川餅を家臣に作らせたという話が伝わっている。当時は砂糖は大変な貴重品だったので、砂糖を使ったこの餅は大層な評判になったという。
 どうもきな粉餅とあめ餅の境目が分かりにくくなって来たが、麦芽飴の有無で考えるのがいいようだ。一関地方の農家では1月11日の「農はだて」にふくとり餅を食べるという。ふくとり餅=きな粉餅で、1年間の福を願うという意味があるという。

※現在では餅の中にあんの入ったお菓子としての安倍川餅が静岡の名物として知られているが、それとは一線を画したものと考えたい。
 ふくとり餅は秋田県でも見られる。一部ではフキドリ餅といい、地吹雪にも負けず、健康を願う餅として小正月に食べられている。また、山梨などではお盆に安倍川餅を仏壇に供え、食べるという。

そのほかのもち 


16)えびもち(えびなますもち) えびもち
 近年テレビ等で紹介され有名になったのが、「えびもち」です。川エビや沼エビをまるごと炒り、醤油で味をととのえ餅にからめる。紅白で縁起の良いもちとして棟上げ、御祝儀の餅料理には必ずえび餅。又、正月の雑煮の具材には欠かせない1品です。
 一関市内の平野部と花泉地方(沼や川、水田用の溜め池で採れるエビを利用)で昔から食べられていました。醤油味でさっぱりとしていますので、甘いおもちの苦手な方でも大丈夫です。また、塩味でなますを絡めて食べることもあります。
 南隣りの栗原、登米両地方でも名物として食べられています。沼エビを採取することのなくなった最近では、スーパーなどで霞ヶ浦産などを購入してつくることが多いようです。海産物の桜エビで代用することもあります。
 ※関西でいう所の「桜エビ餅」とは違うものです。

17)凍みもち  小正月の頃に凍みもち(=氷餅)をつくる。作り方はいたって簡単、餅を搗き切り餅にして10個くらいを藁で編んだものを水に漬け、軒先や戸外でさらして十分に凍らせてから乾燥させる。おおよそ1ヶ月で完成。どちらかというと食感はサクっとした歯触りが命で、農作業の合間に間食(小昼−こびる)として食べていたと言う。
 一関地方は現在ではほとんど作られず、めったに食べることが出来ないが、全国的に生産されていて、中でも信州・東北では土産物として売ってる所が多い。大正から昭和の初期には中尊寺名物として売られていたと言う記述もあるほどだ。
 基本的な種類は白もち・豆もち(黒豆・くるみ・青豆)が基本だが、よもぎ・ヤマゴボウの葉・栗やカボチャ、しその葉を入れて色餅にすることもあるようだ。そのまま食べることも多く兵糧や携帯食になったゆえんである。また醤油で味つけした油で軽く揚げたり、焼いたりしていただく所もある。お湯をかけると柔らかくなるので、砂糖醤油やきな粉をつけて食べるのもよし、味噌風味の雑煮もまた格別。近畿地方ではゴマ、砂糖、青海苔、干しえびを入れるという。煎餅やおかきの原形とも言える。
別名:寒ざらしもち、干しもち凍み餅
※地域によってはピーナッツやゴマ入りもあります。

18)きじもち(ふすべもち)☆
 「4)ふすべもち」の高級バージョンとなるのが「きじもち」です。
 今ではなかなか目にすることもない「きじ」の挽肉とこぼうをおろして炒め、醤油と酒で味を整え餅にからめます。
 10年程前までは知人から年に1度雉子の肉をいただいていたので、正月の雑煮のだしに使うのが精一杯だったので、「きじもち」なんてとても無理でした。こんなことならあの時無理してもつくって食べれば良かった。。。最も昭和の生まれですから、子供時代には雉子の肉も食べてはいたのですが。。。※雉肉をつかったふすべもちは改まった席やご祝儀の席などで出します。

○)しょうゆもち(磯辺餅・のりもち)☆

 子どもの頃は切餅をあぶり、砂糖醤油をつけてたべる。海苔を巻くこともある。だんだん大きくなると砂糖無しで食べる。あまりにもお馴染みで。餅料理の一品と呼ぶによりはおやつという感じ。
 冬場の学校帰りのおやつは、いつもこれでした。シンプルに焼いて醤油をつけて食べる・甘い物が欲しい時には、砂糖&醤油で食べる。時には海苔でまいて食べる。さらに美味しく食べたい時は、海苔でまいたあとに軽くあぶる。おそらく人生で一番食べている餅ではないかと思います。今でも切り餅が余ったときや、小腹が空いたときなど最後の一手はまずこれになります。

※お馴染み過ぎて餅料理の行事食にはエントリーされていないのがちょっと残念でもある。松山には餡入りの郷土菓子「醤油餅」があるが別物である。

○)ほやもち

 三陸の珍味「ほや」を使った餅である。これは結構地元でも珍しい部類に入る。金ヶ崎などを中心に散見される。
 沿岸では6月ごろからとれる新鮮なほやと餅を合わせ、 農作業で疲れた体に鋭気を養う食べ物として重宝されている。
酢、しょうゆ、しそとほやを混ぜて和え衣を作り、そこにもちを絡め、しそをあしらうのが基本の形である。確かに酢が入ると何となく元気が出そうだし、左党にはこれに日本酒があったら応えられない。
 また、鮮度の良いホヤなら酢で締めなくても十分に美味しい。奥州市江刺区ではホヤの塩辛を切って、しょうゆをちょっと入れてお湯で戻したお餅をからめていただくといいます。

※石巻・志津川地方では、ホヤをだしと具に使った極めて珍しい「ほや雑煮」があるといいますが、具の豪華さ、引き菜はじめその共通な材料、醤油の味付けは仙台雑煮と似ています。地域や家庭により多少異なるようです。

注)江戸時代、飛騨高山あたりの山の民は飢饉の年に、ホヤ餅を食べて飢えをしのいだという。この場合のホヤとはヤドリギの別名で、採集してきたら枝だけにして、それを煮しめて臼でつき、粕をとって精白。ソバ粉やヒエの粉とまぜて団子にする。ただし、このホヤ餅は体によくないらしいからご注意を。

○揚げもち  ○あぶりもち ○あわぼもち ○いかもち ○いっそもち

○炒りもち  ○きびもち   ○きらずもち(おからもち・かすもち) 

○栗粉もち  ○しいたけもち ○ぬさもち ○うにもち 

○しらすもち ○山菜もち

◆ 搗き餅(餅種を搗き込む)
混ぜもち


よもぎもち(草もち)  摘んだヨモギの葉を茹でて水にさらしてアクを抜き、水気をしぼってすり鉢でよくすり、餅に搗き込む。このよもぎもちを丸めて中に小豆あんを入れます。
 あんをいれずに、きな粉をまぶして食べることもあります。
 新井白石が1719年『東雅』のなかで、今日ではヨモギを用い、草餅とも蓬餅ともいうとあるように、江戸時代にはすでに「よもぎもち」があったようです。
※草もち・草大福と書くと、日本全国どこでも売られていて、餅というよりは和菓子として有名です。家庭で「よもぎもち」をつくるシーンは最近はほとんど見られず、十分に昭和の時代の一コマになってしまった気がします。30年程前のことだが、毎年端午の節句に会社の同僚が大皿一杯に手造りのよもぎもちをもって来てくれた。そのときの素朴な甘みと、よもぎの香りが最近懐かしく思い出される。
草もち

はこもち(ははこぐさ)
 草もちなんですが、よもぎ餅よりも古い時代から食べられていたのが、はこもちです。
 よもぎではなく、ははこぐさ(おぎょう―春の七草)の若葉をもちにつきこんで食べます。
 草もちの歴史は古く、平安時代から食べられていたという。もちろん餅草は「ははこぐさ」で、よもぎが出てくるのは江戸時代になってから。。。草もちは雛人形に飾る赤白緑の菱餅の最下段として広く用いられています。
※戦前から終戦後の一時期は結構食べていたという世代もいますが、現在ではほとんどお目にかかれない餅です。

 

○ごぼうっ葉もち
 混ぜもちの一種でオヤマボクチの葉を搗き込んだのが、「ごぼうっ葉もち」です。
 オヤマボクチの若葉は根菜のゴボウと非常によく似ているので山ゴボウという名前が付いていますが、キク科でアザミの仲間の野草です。新潟県の笹団子や山梨方面の草餅で利用されているようです。
 また、一部では本当に野菜のゴボウの若葉を搗き込むこともあるといいます。
 作り方はヤマゴボウの葉を重曹を入れて煮、一晩水にさらしアクをとる。ゴボウ葉を餅米に細かくちぎって絡ませて搗く。
※図鑑などに出てくるヤマゴボウ科ヤマゴボウ属の植物の1種あるいはその総称。ヤマゴボウは有毒であり食用には供されないのでご注意下さい。

 

○)黄金ネギもち

 ※本寺の交流施設若神子亭で提供する「黄金ねぎもち」は岩手の特産である甘みの強い「南部一郎かぼちゃ」をペースト状にして、もちに練り込んで、きれいな黄金色のもちに仕上げたもの。甘辛のタレと桜エビ、長ネギのトッピングで絶妙な味わい。2013年のもちサミットから登場の新顔です。

○かくらせもち 黒豆やくるみを混ぜてついたもち(まめもち)(草のし餅、豆のし餅:写真下)

しみもち☆干しもち   もちぐさ、ごま、大豆、とろろ芋などを混ぜてつき、干して保存する 

☆すみもち   凍み餅のこと、みずあめの絞りかすをつきこんだもち 

○花草もち(えぞのきつねあざみ)

☆印は宮城県栗原地方のもち


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